Audeze iSINE 20 スピーカーで音を聴くような感覚を味わえるイヤホン (その1)

この10年でイヤホンの性能は格段に進化した。その背景にはスマホの普及がある。

以前は、音楽を聴くためには別途音楽プレイヤーを用意する必要があった。よほどの音楽好きや、いつでも音楽を聴いていたいという人がWalkmanなどのプレイヤーを持ち歩いていた。

しかし、今は違う携帯電話=スマホの時代だ。つまり携帯電話を持ち歩いてる人はいつでも音楽が聴ける環境であるということだ。さらにスマホでの動画試聴、スマホゲームの普及。

イヤホンが必要となる条件はそろっている。そんなわけで、今はちょっとしたイヤホンブームだ。

スマホ前のイヤホンというと、高価なイヤホンは存在しなかった。イヤホンもダイナミック型といわれるシンプルな構造なものだった。それが、近年はちいさなイヤホンの中に、高級スピーカーばりに音の高さ(高音域、中音域、低音域)に合わせてそれぞれのドライバー(スピーカーのようなもの)が内蔵されている。それも最初は2ドライバー、3ドライバーだったが、最近では16ドライバーなんていうものまである。音の高さに合わせた専用のドライバーを増やせば増やすほど、なめらかな音が再生できるという考え方だ。理論的には正論だが、それが結果として良い音につながるとは限らない。

そんなわけで、現在は多種多様な技術を謳ったイヤホンであふれている。ユーザーのニーズも多種多様だ。まず、聴く音楽のジャンルによっても、要求される音質も違ってくるからだ。

たとえばヒップホップなら比較的低音が誇張された音。ロックやR&Bなら押出の強いパンチの強い音。クラシックなら低音から高音域までよろみなく均等に鳴る音。J-Popやアニソンなら、ヴォーカルの中広域がよく聞こえる音。これらの音の傾向だけではなく、音場といわれる音の広がりも好みがわかれる。コンサート会場のような広がりのある音場。演奏者の近くで聴いているかのようなダイナミックな音場。グイグイ音が押し寄せてくるような音場。

これらの音を1つのイヤホンでまかなえるわけはなく、ユーザーも1つのジャンルだけを聴いているわけではない。なので、以前では考えられなかった、複数のイヤホンを所有し、音楽に合わせて使い分けるという人が増えてきた。これもイヤホンの多様化の要因の1つだ。